2020.01.20
1月20日 一年の始まりは書き初めから

今日20日は二十四節気の『大寒』。

本当ならこれから立春までの間が一年で最も寒さが厳しいはずですが、晴天で心地よい陽気の一日でした。

午前中の生徒さんもコートの下は春の装い。

 

 

 

 

学校も3学期がスタートし、最初の行事である書き初め大会も行われました。

書道教室では冬休みに、書き初め大会に向けて宿題の書き初め練習に取り組みます。

単発で参加される親御さんから良く伺うのが「家では絶対に書けないので書道教室でやってもらって助かります。」「家で書かせるとバトルになります。」「すごく上手に書いてきてビックリ。どうしたら短時間でこんなに綺麗に書けるのですか。」などなど。

確かに筆を持つ機会の圧倒的に少ない現代っ子に「さあ、毛筆できれいな字を書きましょう」と言っても至難の業。

お手本を見るなり無意識にサッと書いても、何度書いても上手く書けず時間が過ぎるばかりなのではないでしょうか。

 

 

 

 

本来は、基本的な筆遣いや字形の習得に時間をかけて学んでいくのが王道ですが、年に一度の書き初めは出来るだけ早道で無駄のない学習方法で仕上げます。

今日はご家庭でも実践出来るよう、そのコツをお伝えしたいと思います。

私の教室での指導方法が少しでもご参考になれば幸いです。

 

小学校1,2年生は硬筆課題。

お手本は書く行の真横に置いて、書き損じをすることのないよう一行ずつお手本を折り曲げながら書き進めて行きます。

とめ、はね、払いなどの点画は正しくゆっくりと運筆。

 

 

 

 

3年生以上の毛筆も最初は鉛筆で練習し、しっかりと字形や筆順を把握。

大人にも言えることですが、書の上達はお手本の観察力にかかっていると言っても過言ではありません。

 

 

 

 

何度も書いて、文字の外形や線の長短、方向、角度、空間、偏と旁の関係などを理解します。

上手に書けたらほめてあげましょう。

鉛筆で字形を習得してもまだ筆は持ちません。

次はお手本の上に紙を載せ、鉛筆で文字の輪郭を写し取る『籠(かご)書き』(籠字)の用紙を作っておきます。

 

 

 

 

ここで、実際の文字の大きさや紙面に対する字配りも理解します。

 

 

 

 

この籠書き用紙を清書の直前に毛筆でなぞり書きすることでグンと進歩するのです。

生徒のMちゃん(小5)は学校でもこの籠書きを実践してお友達から「すごいね!」と言われたとのことでした。

籠書き法の効果を実感しているのでしょう。

籠書きが出来たら初めて書道用具をセット。

 

 

 

 

そして『百聞は一見にしかず』と言いますが、やはり具体的に実演して直接視覚に訴えることも大変効果的。

筆の扱い方から始まり、用筆(始筆・送筆・終筆)、字形の注意点など口頭で詳しく説明しながら書いて見せます。

 

 

 

 

ここは親御さんにとってハードルが高いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あらかじめ書いてみることで思わぬ難所に気づき要点も共有出来ることでしょう。

そのあとでようやく子供自身も筆を執ります。

書き上げたらお手本と見比べて赤鉛筆で自己添削。

 

 

 

 

まずは口出しせずに気づくのを待ち、一緒に見ながらアドバイスします。

自分のつまずきがわからなければ何度書いても修正出来ませんね。

課題意識を持って練習し、お手本と比べてみてまた修正点を見つけるの繰り返し。

 

 

(Nちゃん(小4)のお母さんは書き初め用紙をラップの筒にくるみ大切に持たせて下さいました)

 

そして、最も効果的なのが手に手を添えて書いていく手取り法。

 

 

 

 

筆圧の加減や呼吸が体感で伝わり、たった一度の手取り法で完全にのみ込める場合も多い昔ながらの指導方法です。

成人した生徒さんに「先生の手の感触を今でも憶えてる」と言われて感動したこともありました。

 

書き辛い字があれば同じ字を何度も籠書き(あるいは何度も手取り)する場合もあります。

ここまで来るとだんだん意欲も高まってきます。

 

 

 

 

そして練習も終わりに差し掛かると、用意しておいた籠書きの用紙に輪郭からはみ出ないよう隙間を作らないよう筆でなぞって最終確認。

こうして万全を期して清書。

お名前も、書く位置を確認しお手本を見ながら丁寧に、普段より大きめな字で書きます。

 

 

 

 

ここまでが約2時間の行程になります。

長くやっても集中力が切れてしまうので、お子さんの個性に合わせ程良い時間で済ませるのも大切なことです。

書き初めは大変ですが、親子で共に筆に親しむ貴重な機会とも言えます。

子供さんも大きな紙に向かい、緊張して頑張っています。

色々な方法を試し楽しみながら、少しぐらい形が悪くても生き生きした字を書いて、最後はしっかりほめていただけたらと思います。

わからないことがありましたらどうぞお尋ね下さい。

 

さて、出展のお知らせです。

1月24日(金)~26日(日)に神奈川県の茅ヶ崎市民ギャラリーで開催される『 雅月書道教室展』に、3尺×6尺サイズの近代詩文書作品と色紙作品の二点を出品しています。

お世話になっている井上先生より今年は「桜」がテーマと伺い、色紙には昨年の秋に詠んだ十月桜の俳句を書きました。

お時間がありましたら是非、風光明媚な茅ヶ崎で開催される豊かな書の世界を楽しみにお運び下さい。

 

 

 

 

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