2013.10.10
10月10日 初めての習字

 

朝日新聞出版の雑誌「AERA」2012年10月29日号の、「現在、各界で活躍している人や高収入の人たちの子供の頃の習い事、第1位は習字」という記事に、目が引き付けられたことがありました。

30代から40代のへ人のアンケート結果ということなので、当時は習字教室全盛期で生徒数が多かったことも要因の一つでしょう。

しかし、今も昔も遊びたい盛りの子供にとって習字は、やはり地味で単調な作業。

また、PC全盛の昨今では手書きの機会も激減しています。

活躍する見せ場のあるスポーツや、舞台が用意されるピアノやバレエなどと比べると、華のないおけいこごとのようにみえる習字。

そんな習字が、「自分の人生で何らかのプラスになった」と、多くの人に言わしめたのはなぜでしょうか。

 

 

 

 現在、小学校では3年生から毛筆の授業が始まります。

硬筆はともかく、毛筆においては書道教室に通っている子の上手さは圧倒的です。

遥水書道教室でも学校より一足早く毛筆のウォーミングアップに入りますが、昨日は2年生の子供たち3名が初めて筆を持つ日になりました。 

学校で習字が始まったばかりの3年生も加わり、楽しみにしている子供たちに充分手が行き届くように、書道師範の横山裕子さんと、夜のクラスの中学生Hちゃんにサポートをお願いして臨みました。

 

 

書きなれている鉛筆やペンと違い、やわらかい毛を集めて作られている筆を操って文字を書くのは大変こと。

ひと筆ひと筆、一生懸命筆を運ぶ子供たちの心が線に表れます。

硬筆も上手なMちゃんの「青」は、一点一画が丁寧で、きりっと整った見事な字形に。

 

 

サッカー大好きでフォワードで活躍した試合のお話が弾み、おけいこ仲間にも楽しい声掛けで盛り上げてくれるKくん。

書いている時の真剣なお顔を載せられないのが残念ですが、普段と打って変わって緊張感に満ちた表情で書いた「青」は伸びやかで、ピッチの上に広がる青空のような作品に。 

 

  

 

 学校で、習字が始まっている3年生のTくんは、お手本を見る目が確かで、ゆったりと落ち着いた心で「ねぎ」を書き上げました。

整った字形が見事です。

 

 

下の写真左端の「ねぎ」は、ダンスが得意でキュートな3年生Tちゃん。字形正しく堂々としていて、とても初歩とは思えない立派な作品。

「青」の写真左端は、心優しい2年生のYちゃん。気持ちを込めて書いて、良寛の書を彷彿させるような温かさを感じる作品になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生まれて初めて筆を持った子供たち。

初めて目にする道具の取り扱いや、慣れない筆の持ち方、思い通りにならぬ筆に墨の量の加減の難しさ、油断するとあちこちについてしまう墨に悪戦苦闘、たくさんの「初めて」を乗り切った一日でした。

私も、子供たちの無心で取り組む表情や、今しか書けない素直な線を見ることの出来たありがたい貴重な一日になりました。

子供に降りかかる怖い事件が勃発していますが、どうかこの清らかな子供たちが幸せに成長して行かれるように心より願います。

 

 

数々の困難を克服しつつ、1枚の紙に一字や二字でも心を込めて、ただただ地道に習い続けていく習字。

それでも書くことが好きになり、力をつけて、自信を持つ。

そしてそれが書道だけでなく、将来のいろんな可能性に広がるのでしょう。

「達筆」という、かけがえのない宝物のおまけつきで。

 

 

 

 

TOP↑