2017.02.20
2月20日 気持ちを伝える書 

駅に向かう道にゆらゆらと湯気が立ちのぼる温泉マーク。

見るだけでゆったりした気分になりつい立ち寄りたくなりますね。

世田谷の住宅街の中にある『月見湯温泉』という何とも風情のある名の銭湯は、天然温泉の源泉かけ流し。

老若男女で賑わう昔ながらの銭湯です。

 

 

 

2012年よりこちらで定期的に開かれている銭湯ライブに書で参加しています。

主宰するのは、ライブハウスに限らず古き良き日本の「〇〇屋さん」を音楽やアートと融合させて新たなライブシーンを創る活動を続けている『音屋企画』の皆さん。

その熱い想いを大切に、来週のライブのためにシンガーソングライターの皆さんそれぞれの個性を生かした筆文字ロゴを制作しました。

 

 

 

今回はステージの背景をインスタレーションで表現するとのこと。

壮大な赤富士のタイル画が映える浴場での新しい試みはどのような世界になるのでしょうか、楽しみです。

寒暖の差が激しい日々ですが、皆さんお時間が合いましたら是非、身も心も温まる楽しいライブにお越し下さい。

 

 

 

筆文字アート、デザイン書道などと呼ばれる、言葉を自分の感性で表現する創作はとても楽しいこと。

学生の頃に近代詩文書を書く経験を積んだことで、人の想いや意図を明確にした言葉を書にするお仕事が広がったように思います。

昨年末にはリリア株式会社様より新商品のロゴのご依頼をいただき、打ち合わせを重ね、発売に向けて進行中です。

代表の吉武利恵さんは大和撫子という言葉がピッタリの美しい女性。

 

 

 

 

しかしそのお仕事ぶりは、日本の和装小物に、伝統工芸の技法を継承しつつ全て手作業で新しい命を吹き込む匠の世界。

立ち上げられるブランドのコンセプトをしっかりと伺い、 効果的で存在感のある筆文字をイメージしました。

 

 

 

 

Linto_kimonoインスタグラムでもご紹介いただきました。

商品化されましたらまたここでお伝えしていきたいと思います。

 

しかしこうして新しいものを書けば書くほど現代書の難しさを痛感し、伝統的な漢字や仮名表現の学びの大切さに気づくことになります。

自分の中にあるものだけで書いていても行き詰まり、古典に立脚した品位の高いものでなければ人の心を打つ作品にはなりません。

私の故郷山口の師であった古川奠雪先生は、戦後の新しい書のジャンル『漢字仮名交じり文(近代詩文書)』を確立された金子鴎亭先生の書風を受け継がれました。

身近な語句や詩歌をモチーフに、読めて感動を与える斬新な作品を次々に生み出され、私も十代の多感な時期に多くの事を学ばせていただきました。

4歳の頃から手を取って教えて下さった先生、芸術書道の新しい世界に導いて下さった先生にはとても感謝しています。

若さ未熟さ苦しみの混じりあう当時の作品。

 

 

 

今では書道を教える側になりましたが、生徒さん達にも自分らしい書を書いていって欲しいという願いがあります。

先週土曜日は、故郷岩国の観光大使であり折り句作家のMIKAKOさんが稲城第四小学校の学校公開日に行った『全国1万人折り句キャラバン~10代のみんなと折り句で大切な家族に「ありがとう」を伝えよう~』に参加。

 

 

 

106名の4年生の児童と共に、家族や先生への想いを込めた折り句を作りました。

 

photo by Masataka Akiyama

二十歳の成人式の半分の10歳の節目を祝う、二分の一成人式で披露されるとのこと。

気持ちの伝わる最高のプレゼントになることでしょう。

授業の最後にMIKAKOさんの温かいお言葉。

 

 

『今日はいろんな人にありがとうを伝える折り句を描きました。

「ありがとう」って人に伝えられることは素晴らしいことです。

これから5年生になり6年生になり大人になっても、家族やお友達、先生やみんなにありがとうを伝えることはずっとずっと続けていって欲しいと思います。

みんなと私は今日初めて出逢いましたね。私にもみんなにもお父さんお母さんがいて、おじいちゃんおばあちゃんがいて、ひいおじいちゃんひいおばあちゃんがいて、たくさんの命が繋がって今日、私もみんなもここにいます。

これから先、お友達とけんかをしたり悩んだり苦しかったりどんな大変なことがあっても、みんなの命はたくさんの命と繋がっていることに自信を持って、今日みんながありがとうが伝えられたように、ありがとうの気持ちを持って歩んで行ってほしいと願っています。』

 

全ての子供達が健やかに幸せに成長しますように。

 

TOP↑