2015.03.10
3月10日 春の旅  

 

さようなら、元気でね、頑張って。

進学、就職、引っ越しなど人生の転機が訪れる3月は、家族やお世話になった人、大切な友達との別れの時を迎える方も多いことでしょう。

 

 

 

 

先週、山口県岩国の地元へ帰省しました。

岩国空港では、さまざまな思いで行き交う人々を愛らしい雛飾りがそっと見守っていました。

一つ一つ表情の違う美しいお顔を見ていると、なぜか雛人形で遊んでいた幼い頃のことや母のことを思い出します。

桃の節句を祝う雛人形は、子どもの身代わりとなり、事故や病気から守ってくれ、健やかで幸せな成長を願うためのもの。

この優しいお雛様の姿を胸に、岩国を旅立たれた方も多かったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 帰省すると必ず訪れる場所、国の名勝・錦帯橋に近い西岩国地区では、『内裏ひなまつり』という華やかなイベントが開かれていました。

この地区は、お殿様が錦帯橋を渡ってお通りになる事から名付けられた「大明小路」や、「鍛治屋町」、「塩町」、「魚町」、「材木町」など江戸時代からの歴史ある町名が残る、城下町の風情漂う場所です。

 

 

 

 

 

民家の軒先に飾られた、竹筒の上に座るお雛様を見つけました。

まるでかぐや姫のようですね。 

 

 

 

 

 

国の登録有形文化財「國安家住宅」では、手作りの温もりあるアート作品の販売があり、週末には、内裏びなにちなんだ岩国の昔話の紙芝居も上演されるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広い土間のある商家では、ぎっしりと並べられたお雛様が圧巻でした。

 

 

 

 

 

店先や古民家の中など、通りのあちこち(40ヶ所)に計約1000体もの雛人形が飾られているそうで、お雛様を探しながら歩くのも楽しいひとときになりました。

 

 

 

 

 

お雛様のある場所には目印として『岩国ひなまつり』と書かれた桜色の幟旗が掲げられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会期は、3月15日(日)までとのことなので、お近くの方はこちらで素敵な春の一日を過ごしてみては如何でしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

さて、歴史ロマンあふれる 西岩国を後にし、次は今回の旅の目的の一つである広島県大竹市の『大竹和紙工房』へ。

皆さんご存知の通り、日本の和紙作りの伝統技術は昨年、ユネスコの『世界無形文化遺産』に登録されました。

 

 

 

 

 

 

書道に携わる者にとって、和紙はとても大切なもの。

若い頃岩国でお世話になった大先輩tatu_no_koさんから、地元の和紙について貴重な情報をご教示いただき、その後の交流の中でこの場所を訪ねる機会を得ることが出来ました。

出典 : ブログ『日々のことを徒然に』より 「紙造り」(2014年11月28日)

 

 

 

 

 

大正時代には千軒もの家々で作られていたという大竹和紙。

丈夫で美しい和紙づくりにはきれいな水が大量に必要で、大竹は広島県と山口県の境に流れる小瀬川の豊かな水に恵まれた地域であったこと、上流の山間部が原料となるコウゾの生産に適していたことが発展の要因になったそうです。

しかし、次第に洋紙に押され現在でも生産しているのは、広島県内でも『大竹手すき和紙の里』のみとのことでした。

 

 

 

 

 

手漉きの作業は繊細で重労働。

原料となる木を植え、育てることから始まり、枝を収穫、様々な工程の加工を施し、一枚一枚丁寧に紙を漉いていきます。

自然に寄り添い、全てが人の手によって紡ぎ出された日本人の感性の息づく和紙作り。

だからこそ、手漉きの紙に触れると温かみや安らぎといった懐かしさが感じられるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

そんな貴重な手漉き和紙は、同じ墨と水を使って書いても紙によって墨色やにじみに様々な表情が生まれる奥の深い魅力があります。

そして手漉きの和紙は高価なため、1枚1枚を大事に使います。

安価でにじみやかすれが出にくい機械漉きの紙を練習用に使用し、手漉きの紙は清書用にという紙に向かう心構えも作品に投影されるのでしょう。

 

 

 

 

 

来たる4月4日(土)、5日(日)には、書道教室のある世田谷桜上水で開催される『桜まつり』で、大竹の手漉き和紙を使用した書道展を開く予定です。

 

 

 

 

 

生徒さん達も展覧会に向けて作品創りに奮闘中。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詳細は後日、お知らせのページやブログでご紹介致します。

ご都合の合う方は是非、心の伝わる書と美しい手漉き和紙に直接触れてみませんか。

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