2020.03.30
3月30日 特別な京都 

小池都知事の週末外出自粛要請により静かだった昨日の日曜日。

朝からしんしんと雪が降っていました。

東京で桜満開に積雪は51年ぶりとのことです。

日本人の心の花である桜。

雪に枝をしならせながらも耐え、寒風に凍える姿は、厳しい現実に立ち向かう人々のようにも見えました。

 

 

 

 

俳句で「桜隠し」という美しい季語があります。

桜に雪が積もり雪が花を隠してしまったという意味。

 

 

 

 

桜を隠す無情なお天気は、花に誘われて外に出たくなる人の気持ちを諫めてくれる導きであったようにも思います。

花の命は短くて、味わうどころではない状況に右往左往している内に3月はあっという間に過ぎていきました。

来年こそは咲き誇る桜と共に春の訪れを満喫したいものですね。

 

 

金閣寺

 

さて先日、直接話をしたい人に会うため京都へ。

 

 

世界遺産 清水寺

 

京都の春を象徴する桜はまだ蕾でした。

 

 

 

 

新型コロナウィルスが猛威を振るい混迷を極める現在、京都の豊かな自然と時を超えて変わらずに在り続ける歴史に深く癒やされました。

世界遺産のお寺や神社、京都らしさたっぷりの街並み、咲き乱れる花や清々しい竹林など美しい景観にため息が出るばかり。

ブログで2回に渡りお届け出来たらと思います。

今回は時節柄、石碑や書に大きく心動かされました。

遥か昔にしたためられた書はずっとそこに佇んでいたはずなのに、不安な状態の今見ると心にズシンと飛び込んで来るような重みがあったのです。

 

 

世界遺産 天龍寺 「復元」の碑

 

この1ヶ月で世界は大きく変わってしまいました。

「復元」の芯の強さを内包したような書きぶりに、「必ず元に戻るんだ」という強い意思が伝わってくるような衝撃。

 

清水寺の参道にはこんな立て札。

 

 

小林一茶の句

 

先の見えない大変な時こそ痛切に実感する言葉。

どこか遊び心のあるようなスッキリした書に、筆を運ぶお坊さんの姿が目に浮かびます。

「何不足」と言い切った言葉に魂が宿り、暗くなりがちな心に希望が湧くようです。

 

天龍寺には硯の形をしたユーモラスな石碑も。

 

 

 

 

なんだか明るい気持ちになり、私も書画の上達を願って手を合わせました。

 

 

天龍寺 曹源池庭園

 

そして石庭で有名な世界遺産の龍安寺。

観光客を引きつける世界の入り口では、こんな迫力の屏風が幽玄な空間へ誘ってくれました。

 

 

『飲酒二十首其五』胸淵明の五言古詩 寺西乾山書

 

お寺に上がり、目に入ったのは巨大な衝立。

 

 

『雲開』 寺西乾山書

 

「雲開」とは「雲への玄関」と言う意味で、ここは遥か空の彼方の天に通じているのですね。

人生には受け入れがたいことがあっても乗り越えて前に進もうと励まされているようです。

流れる音楽のようなリズム感のある書きぶりに仏心一体となった書き手の温かい精神を感じました。

裏側には「通気」。

 

 

通気(気を通ず) 寺西乾山書

 

「通ず」には「とおる」や「かよう」等の意味以外に「つらぬく」という意味があります。

「気」は、「きもち」や「こころ」。

よって「万物の底力、生命力」を表す、心に沁みる書。

この庫裡で出逢った力強い書を見るうちに、反対に気は穏やかに静まり平安になっていくのを感じました。

 

 

龍安寺 石庭

 

色々なお寺で念願の石庭も見学しました。

 

 

詩仙堂

 

縁側にじっと座り静かに庭の一部に。

 

 

圓光寺 枯山水

 

銀閣寺 銀沙灘

 

手水鉢やししおどしの冷たい水に手を浸すと身も心も清められるよう。

 

 

詩仙堂

 

圓光寺

 

つかの間のホッとするひととき、京都のお話は次回に続きます。

皆さまご健康にはくれぐれもご留意下さいませ。

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