2014.06.10
6月10日 脳を元気にする書道

 「携帯電話になってから電話番号が覚えられなくなった」、「パソコンを使うようになってから漢字が書けなくなった」と感じている方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

私達は漢字を習うのに、先生から書き順や読み方、意味などを教えてもらい、何度もノートに書いてテストをしてもらって覚えていきました。

今でも字が思い出せない時に、無意識のうちに指で書く動作をしていたりしませんか?

小さい頃に、背中に字を書いて当てっこする遊びもありました。見えなくても、指の動きで分かったものです。

字は見た目の形だけでなく、書くことにより身体で覚えたとも言えるでしょう。

ところがパソコンではどの字もほぼ同じタッチの動作。変換で選ぶだけです。

忘れていくのも無理はありませんね。

 

デジタルなパソコンや携帯の普及によって便利になった半面、記憶力が衰えて疲れやストレスが溜まってしまう。

そんな中でアナログな書道がもたらす嬉しい効果が見直されているように思います。

 

 

 

 

 

 

6月のデイサービス(高齢者のための通所介護事業所)の書道レッスンは、毎回共にしている書道師範の友人横山裕子さん(写真)と、デイサービスのスタッフ3名の方々と協力して、七夕の短冊に願い事をしたためていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

レッスンの冒頭は少し張りつめた空気も漂いますが、みんなで墨を磨り始めると、「あーいい匂いがして来た」、「懐かしい!」との声があちこちから聞こえ徐々に賑やかに。

 

 

 

 

 

 

心地よい墨の香りは鼻から脳にダイレクトに伝わり、気持ちを落ち着けたり晴れやかにしたり、楽しい記憶を呼び起こすといった働きも促します。

「筆を持つのは小学生の時以来だわ」、「昔は上野の書道展に出していたんだけど」などと心弾ませていらっしゃる声も。

 

 

 

 

 

 

確かに現代では、筆を持つ機会は全くないと言っても過言ではないですね。

だからこそ、動物の毛を集めて作られた筆を、透き通った水から作った墨に浸して、手漉きの和紙に書くという文化に、デジタルでは得ることの出来ない心の安らぎを感じるのでしょう。

背後から手を添えて一緒に書く「手取り法」と呼ばれる体感的な指導法も多用してスキンシップやコミュニケーションを図り、リラックスしていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手書きの文字を芸術として表現する書道。

脳の中では、ペンで書くよりも複雑な情報伝達が行われています。

 

 

 

 

 

 

まず、筆にどのくらい墨を含ませるのが適当か、滲まないように、かすれないように気を付けて、そして一画目をどこから書き始めるか、文字が紙からはみ出さないようにスペースの配分を計算して、清書したら名前はどこに入れるかなど、様々なシュミレーションが同時進行。

 

 

 

 

 

 

数種類のお手本の中から一番に、「毎日楽しく」を選ばれたIさん。

前向きな意味の言葉を書くことで表情も活き活きと一生懸命取り組まれ、素晴らしい作品に仕上がりました。

 

 

 

 

 

 

その他の皆さんも細い穂先に意識を集中、なめらかな筆づかいで紙面構成も美しい短冊が並びました。

終了後のティータイムは、程よい疲れと書き上げた達成感に浸り和やかな時間が流れます。

持ち帰られた素敵な作品がご家族との会話に繋がるのも嬉しいこと。

次回は来月、夏にふさわしい筆文字うちわの制作を予定しています。

梅雨に入り天候不順が続いていますが、みなさんの元気なお顔にお目に掛かれますこと楽しみにしています。

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