2017.10.10
10月10日 志を学ぶ

秋の3連休、皆さん楽しまれましたか?

私は久しぶりに世田谷の松陰神社へ。

 

 

 

 

書道教室のある下高井戸駅から東急世田谷線で10分余り、東京にいながら故郷山口の風を感じられる温かな場所です。

幕末の思想家、教育者で、私塾松下村塾を主宰し、明治維新を成し遂げた多くの若者を教育した吉田松陰。

 

 

 

 

生家のある山口県萩市にも松陰神社がありますが、なぜ東京の世田谷にも松陰神社があるのか不思議ですね。

元々この場所には、長州藩(山口県)の藩主の別邸があったそうです。

 

 

 

 

松陰は1859年の安政の大獄により投獄され、志半ばで刑死(享年30)、満29歳の若さでした。

その亡骸は他の罪人と同じく小塚原の回向院に無縁仏として埋葬されていましたが、門下生であった高杉晋作や伊藤博文らにより4年後の1863年にこの地に改葬されたそうです。

松陰の墓所の周りには明治維新を見ることなくこの世を去った長州藩士の墓碑も並んでいます。

その後、明治15年(1882年)に長州藩出身者たちにより墓所の隣に社を築き神社が創建されました。

現在では、ゆかりのある崇敬者だけでなく地域や地元商店街からも愛されて、世田谷区と萩市の間には友好都市提携も結ばれ、嬉しい交流が盛り上がっている松陰神社。

 

 

 

 

私も僭越ではありますが、長州山口県で生まれ育ち教育に携わる仕事をしている者の一人。

松陰先生の時代の先駆者としての気概をささやかながら受け継ぐべく、これからも書道に精進出来たらと心に誓う場となっています。

 

そして、汗ばむような陽気が続いた連休最終日は、恵比寿ガーデンプレイスで開催された書家・紫舟さんの「Love Letter Project′17」へ。

JR恵比寿駅を出て街をあげての文化祭で賑わう会場に近づくと、映画でおなじみ「パイレーツ・オブ・カリビアン」の大迫力の演奏が聴こえてきました。

 

 

 

 

特設ステージには地元で実力のある広尾学園高校の吹奏楽部のみなさん。

これから見る展覧会への期待も高まります。

 

 

 

 

大阪芸術大学の教授でもある紫舟さんは、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の題字を担当されたことでも有名ですが、世界に向けて日本の文化と思想を伝えたいと様々な挑戦をされています。

 

 

 

 

「世界に出た時に、日本語の読めない外国人に書を理解してもらうのは限界があると感じました。もともと漢字は、亀の甲羅や動物の骨に彫った甲骨文字がもとになるもので立体であったと言えるのではないか。それならば、平面ではなく立体の造形物にすることで新たな表現を目指しました。」

とのことで、会場には書の範疇にとどまらないアート作品がズラリ。

こちらは、文字をかたどった立体彫刻やその影から生まれる幻想的な作品。

 

 

 

 

そしてこちらは、現在、愛媛県立美術館で開催中の紫舟展で天皇皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻も御覧になったという、「360度キュピズム」という金属製のオブジェと屏風絵の立体アート。

 

 

 

 

そして大きく感動が広がったのは、紫舟さんとチームラボ(猪子寿之代表)との 新作デジタルアート、「ことばの大宇宙空間」でした。

 

 

 

 

果てしない空間に浮遊する文字が、静かな音楽の中で生まれては消え、消えては生まれ、やわらかな言葉の世界に包みこまれるような安堵感を覚えました。

 

 

 

 

同じ空間で行われたギャラリートークでは、作品の背景にある精神性や世界に向けて日本を発信したいという強い思いをお話し下さると共に、「勢いで書くのではなく、自分の全てを注ぎ込むような書き方で書いています」と、筆の説明や実演までして下さって大変勉強になりました。

 

 

 

 

志を高く持ち、制約や伝統を超えて見たことのない世界を創り続ける紫舟さんの挑戦は、幕末維新の時代を駆け抜けた松陰先生の生き様にも重なります。

時代は全く違いますが、偉大な二人の世界に触れて心に何かが宿ったありがたい連休になりました。

 

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